何しても不満

高専中退。一年浪人して二〇二〇年から私立文系大学生。

日帰り東京

15日、父と二人、日帰りで東京に行きました。というのは、両親が私を癌や入院用の保険に入れたいらしく、その手続きには保険屋と対面での契約が必要だと言うので、出向くことになりました。母親は病気が怖いから保険屋に来させなさいと言いましたが、父親がうなぎを奢ってくれると言うので、私も東京旅行に一票を投じました。久しぶりで中野の原画屋を覗くことも目的でした。

その前日、つまり私が20歳になった誕生日ですが、自分のお酒の許容量がわからないままに、母親がコンビニで買って来たアスティ・アイスを7割くらいと炭酸で割るお酒を6杯程、丑満時まで飲んでから、翌朝7時に起きたら気分が悪くなっていました。飲んでいる時は楽しかったのに、案外お酒に弱いのかもしれません。寝不足も相まってか、家で一回、伊丹空港で一回、羽田空港で一回吐きました。おかげで、口の中で吐き、それを溜めておいて近所のトイレに捨てる技を習得しました。昔ブロンのODでたまに吐いていた頃、そんなことはとてもできなかったので、お酒で吐く方が楽なのかもしれません。嘔吐の勢いが違うように思います。

しんどかった話はこれまで、親にお金を払わせた旅行(?)ですから、楽しかったことを書きます。飛行機に乗る伊丹空港ですが、父親がANAの会員か何からしく、お酒を飲めるラウンジにタダで入れました。飲み放題で、ジュースやお酒のサーバーがファミレスのように並んでいます。ウィスキーや焼酎の瓶も置いてありました。私は当然の権利としてウィスキーを飲んでみました。これは美味しく飲めたのですが、今度は調子に乗ってリンゴジュースで割ってみると、大変気持ち悪い味になりました。不味いので捨ててしまいました。もったいない。

そうこうしていると、飛行機の飛ぶ時間が近づいて来ました。そろそろだと言ってラウンジを出ると、職員の女が話しかけて来ます。なんだと聞くと、私たちの乗る飛行機は搭乗を締め切ったと。なんでも10分前にはゲートを潜らなければならないルールに変わっていたそうです。仕方がないので次便に移して、またラウンジでお酒を飲んで時間を潰しました。

その1時間半後にやっと飛行機を降り、電車を乗り継ぎ東京駅へ。少し歩いた喫茶店ルノアール八重洲北口店で保険屋と1時間ほど話し、ようやっと契約を済ませました。飛行機に乗り遅れたせいでひどく時間のかかった心地がしました。

電車に揺られて40分強、上野毛駅の近所にある金のうなぎという店で、うな重の一番大きいのを食べました。非常に多くて、食べるのが大変でした。愛知の有名な店でひつまぶしを食ったのにも、幼かったせいで感動した記憶はないのですが、今回のはうなぎがご飯に比して余るほど多くて、途中からは白米に気を使ってうなぎを食う贅沢を犯しました。値段は忘れましたが、なかなか美味しかったです。父親は、多分食べきれず残していたと思います。

そこから中野へも行ったのですが、原画屋アップルシンフォニーの品揃えに魅力的なのが見つからず、隣接したまんだらけや目星を付けていた他店の原画や設定資料コーナーも見たのですが、ピンとくる物がありませんでした。もうそろそろ、私の原画収集趣味も年貢の納め時なのかもしれません。桜trickshuffle!の二作、その店で私が注意している原画なのですが、良いシーンの物は多分、もう残っていませんでした。ブロードウェイで金を使わなかったのは初めてです。こんなことなら、手前の新宿に降りて御苑を散策した方が良かったかもしれません。ちょうど雨降りで、言の葉の庭で見た風景に近かっただろう。中学生の頃だから、もう五年ほど前、まさしく雨の中に新宿御苑を訪ねましたが、それらしくて素敵だったので、父にも見せてやれば良かった。彼は中野で退屈をしていました。

中野にはフラストレーションを抱えたまま、17時頃に羽田へ向かいました。帰りの飛行機は19時の便を予約していたのですが、さしたることもなし、早めに行ってラウンジでお酒を飲むという流れになりました。帰りへ向かう電車は何か寂しい心地がしました。たった一日のことですが、小学生の頃に何年か住んだせいで愛着があります。祖父母の家を去る時に感じる種類の、妙な手放し難さで東京を離れました。

大阪のことも当然好きなのですが、東京の風景を見ると、大阪には物足りない何がかあるように見えます。

帰りの飛行機は、父が貯めていたマイルの期限が近いということで、消化のためにプレミアムクラスの席に座らせてもらいました。席が立派で晩ご飯が付き、お酒は飲み放題でした。しかし残念ながら、元々の飛行時間が一時間程度な上に、途中で揺れが大きくなったせいで、晩ご飯を食べきれませんでした。もちろん、うなぎのせいでもあります。食が細いと楽しみが減りますね。

そういうわけで、何にも自分のお金を使わずに東京観光が終わってしまいました。良いことでしょうけれど、お金を使うことや物を手に入れることにばかり楽しみを見出しながら生きて来たので、もちろん楽しかったのですが、全て消えてしまいそうで怖いです。実際、うなぎの値段とかそういう細かいことは忘れつつあります。忘れちまうのがもったいないので、今更ですがこういう風で残しておこうと思います。